カムフラージュ

2002年8月12日
しばらくこの日記から遠ざかってしまっていました。
その間、彼との今の関係についていろいろ思いをめぐらせていました。

なんでこんなに彼は受身なのだろう。
いつもいつも、何かを提案するのは私。
私は楽しいことに人を引っ張りまわすのが好きだから、別にいいやと思ってきたけれども。
たまには、彼から【こうしたい】という楽しい提案はないのだろうか。
週末に私の部屋にきても、彼は半分は寝てる。
そして、私にご飯を作ってと言い、ビデオを借りに行って観るだけ。こんなにお天気がいいのに。
しびれを切らして私が何かを提案しても【暑いじゃん】で終了。
はっきり言って、彼といても楽しいと思えない。
こんな感じの中で、彼は甘えてくるだけ。

先週の水曜日、彼から電話で、
【来週の夏休み、温泉でも行かない?】ということを言われた。
【いいよ、どこに行くの?】と聞くと、
【うーん、仕事あるし、探しておいてくれないかな?たまにはそういう決断をするのもいいと思うよ。】という返答があった。

たまにはそういう決断をするのもいい?なにそれ?
いつもデートでどこにいこうって言って店を決めるのは私じゃなかったっけ?

初めての旅行なのに。
そういうのってパンフとか見ながら二人で決めるもんなんじゃないの?
確かに社会人になってまだ数ヶ月で、仕事やなんやかんやで疲れているのかもしれない。でも、二人で作る時間なのに。何だか寂しかった。
そんな気持ちのまま、結局一人でネットで宿探し。
彼からは【どう?見つかった?頑張って!】のメールがたまにくるだけ。
何度も何度も投げ出したくなった。
こんな風なら、別に旅行になんて行かなくてもいい。そんな気持ちになった。

前の日記に書いた彼の友達のSさんとまた何度かメールをやり取りしていた。先々月くらいに彼女と別れたという話や、私の彼の話や、日々のことなどなど。
面白い人だった。
彼を含めて三人で会ったことは何度かあったけれども、二人で会って話をしてみたいと純粋に思った。
ふざけてその旨を伝えてみると、
【いいですよ。近いうちにご飯でも食べに行きましょう】と言ってくれた。

そして、昨日東京郊外のある大きな街で会った。
夏休みだということもあり、混雑して探すのが大変だった。
【こんにちは】と、やっと見つけて、お昼を食べることにした。
いろんな話の中で、
【あ、そういえば、今日東京湾の花火大会ですよね?ニュースで見たんですけど今から場所とりしてる人がいるみたいですよ】ということを言うと、
【じゃあお台場まで行ってみますか!今から行けば夕方前には着くと思うし。】
少しびっくりしたけれど、何だかワクワクして行く事にした。

案の定お台場はすごい人!人!人!。
浴衣の女の子がたくさんいた。
そして、カップルだらけ(笑)
露店がたくさん出ていて、夏独特の雰囲気を醸し出していた。
レジャーシートを買って、早速砂場に場所とり。
日焼けしそうだなぁなんて思いながら、そこに座ってジュースを飲みながらまたいろんな話をした。
彼との関係が惰性的で、打開に悩んでいることも話してみた。
【今は私の気持ちが低空飛行って感じなんですよ。受身な彼に何だか疲れてしまって。楽しむことを彼から提案してくれないんですよ。】
【うーん、やつと遊ぶ時も俺が誘って行き先も俺が決めてた気がするなぁ。めし食う時もね。それに、あいつが自分で『俺は受身だから』って言ってたよ。】

自分で認めるくらいだから、もともとの性格なんだろうな。
初めは【攻め】の私と凸凹で合うかなぁと思ってはきたけれども、どうやらそれも違うような気がしていたこの頃。彼に信号を送っても伝わってはいないみたいだ。私は明らかに疲れてきている。
でも、疲れた私に東京湾の花火は感動をくれた。
夜空に花を咲かせて、夏をより一層彩っていた。
Sさんとビールや焼き鳥やかき氷を買って食べた。
冷えたビールが美味しかった。
花火が終わって、せっかくだからとパレットタウンの大観覧車に乗ることにした。
歩きながらもたくさん話をしていたが、夜景の見える観覧車の中で、私は涙を流してしまった。
こんなに追い詰められてたんだ、と自分にもびっくりしながら、でもこの時間はものすごく楽しい。久々に【楽しい】と思えた。
涙する私にSさんは落ち着いて話を聞いてくれて、私の手をとって【大丈夫、いつかまた上に向かって飛ぶこともできるよ。でも、あいつは気づいていないんだなぁ。りりこちゃんがこんなに悩んでいることに。俺もてっきりうまく行っていると思っていたから驚いたよ。】といった。

観覧車を降りてから、Sさんは気を遣ってくれて、ゲームセンターに引っ張っていってくれた。本当に楽しくて、たくさんたくさん笑うことができた。
気が付くと家の最寄の駅までの終電に間に合わない時間になっていた。
結局渋谷まで出て朝まで映画を観ることになった。
映画の上映時間まで少しバーで飲んだ。
彼はお酒は全然飲まないし、私の友達もお酒を飲める人が少ないので、最近はあまりバーには行く機会がなかった。調子に乗ってガンガン飲んだ(笑)
映画は【トータルフィアーズ】。散々遊んできたので途中で眠りそうになった。内容はまずまずというところ。
映画館を出ると、うっすら太陽の光が見えた。朝の渋谷は初めてだ。
駅に向かって歩いて、切符売り場まできたけれどもまだ始発がなかった。そして渋谷駅の改札近くでまた暫く話した。
【もう、限界かもしれない。低空飛行で墜落するかもしれない。】
【またまた、そういうこと言うっ!今度の旅行でまた変わるかもしれないよ?無理矢理上にしようしようとはしなくていいけど。】
こんな内容の会話を繰り返していた。
そしてまた口を突いて【限界かもしれない】といったら、Sさんは、
【うん、もういいよ。やめてしまいな。】と言った。いい加減に怒らせてしまったかな、と思って少しふざけて、明るく、
【うーん、じゃあSさんが私を貰ってくださいよ。】と言ってみた。笑ってくれたので、安心して、また沈黙。

次の瞬間、Sさんは言った。
【なんで、あいつの彼女なんだよ。あいつが親友でなければさっさと止めて俺が奪うのに。なんでこんなにタイミングが悪いんだろう、もっと早くに出会っていれば良かった。】
【本当にそうかもしれない。なんで、彼より早くあなたに出会えなかったのかな。】
私は、ずっと奥底に抱えて見ぬフリをしていた言葉を出してしまったという気分だった。
お互いに言ってはいけないことを言ってしまった、という困惑でいっぱいだった。
Sさんはとまどいながら私の頭を胸に引き寄せた。
抑えていた苦しさが一気に出てきて、Sさんの背中に手を回した。

そして、Sさんの腕の中でもう一度聞いた。

【どうして、あいつの彼女なんだよ】

涙が溢れた。
もう、お互いにカムフラージュはできない。

つづく。。。。



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